ehermesのブログ

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ニーチェ

ニーチェは反キリスト教だ。キリスト教の弱者を救済する思想が気に入らないらしい。キリスト教もそうだが宗教というものは知識人の大衆に対するコミュニケーションだと考えられる。知識人が大衆と対話するため大衆の分かる言葉を使っているのだ。救いを求めるとはそういうことだと思う。ニーチェにはそれが気に入らない。甘ったるい堕落した考えに映る。キリスト教を否定して何が残るか。意志の力であり、超人ということにある。そういう考えが本質としてあるわけではなく、キリスト教を否定した結果導き出したものだと思う。意志の力は付属物だ。ニーチェの本質は知識人であること。大衆とは違うところだと思う。

 また、ニーチェは社会が情報化される前の人である。情報化され複数の考えが社会に共存できる状況にはない。キリスト教を否定するのには大きな意志の力が必要であった。大学の教授をやめたのもそのためだ。今の教授は自由なので、ニーチェのような行動はとらないで済むだろう。今ニーチェを読んでその気負いに僕は感慨深いものがある。永劫回帰の思想は自分の考えが永遠不滅で、普遍的なものだという自負がある。しかし、人間というのは変わっていくもので、その変容ぶりは計り知れない。その変化の走りとなったのも、不思議なめぐり合わせだ。今のニーチェを読むための態度としては知識人としての気概が必要なのかもしれない。