ehermesのブログ

インターネット、経済、政治に興味を持っています。

クリュセの魚

 ちょっと周回遅れの感じはありますが、電子書籍化したので読んでみました。クオンタムファミリーより数倍よかったです。ベートーベンの一番と九番の違いのよう。表現の密度が濃く、ひどく饒舌に思われました。欧米の哲学書を読んでいる感じ。風景描写と状況説明のトーンが違ってそれぞれに味わいがあった。風景描写にはリズムがあり、状況説明にはSF用語で味を出し。知的選択体がテーマなのですが、僕の普段思っていることとどんぴしゃ、こんな造語があるのかと思った。知的とは客観性、合理性ですが、社会や自然を対象にする言葉だと思う。この他者を選択することが人間の本質だというわけ。まさしく人間の生きている証拠だよね。ところが彼はその選択を奥さんをとるか子供をとるかに当てているわけ。知的選択体が家族について悩む。そうなんだよねと思わせるところがすごい。時空を超えて、ジャンルを超えて、現実を忘れず。小説を読んでみたいなっと思わせる一冊でした。

クリュセの魚 (NOVAコレクション)

クリュセの魚 (NOVAコレクション)